昨日、担当している全ての授業が終りました。
前期は学部二年生にComputational Chemistryの講義と演習として主にGaussianの使い方を教え、後期は修士1、2年にQuantum Chemistryとして量子化学の理論的な基礎を、Nano Simulationとして実際の研究においてどのように計算化学的な手法を用いるかを分子軌道法を中心に教えました。
モンゴルにおいては、これまで計算化学に関する体系的な教育は行われていないようです。私がモンゴルで働く事を決めた理由の一つは、計算化学的な手法をモンゴルに定着させる事ができれば良いな、という気持ちでした。一年間の授業が終り、その目的が果たされたかというと正直に言ってできなかったと思います。学生に対する授業は行いましたが、大学の先生方に対しては何もしなかった。教材は置いて行きますが、私が帰国した後、計算化学に関する授業を行なえる先生がいるかというと難しいです。ODAでの援助も同じですが、担当者がいなくなった後にも続けられるような物を残していかないと、元に戻ってしまいます。僕が行なった授業は来年どうなるのか…
一方、個人的には学生に対して授業ができて満足でした。日本もモンゴルも大学生はあまり違いはありません。自分が学生の頃を思い出して懐しくなりました。彼等の中に一人でも計算化学を面白いと思ってくれた人がいれば、それで良いのですが。
前回モンゴルに滞在した時は青年海外協力隊で後ろにJICAのバックアップがありましたが、今回は完全に個人でモンゴル国立大学と契約しました。あと一ヶ月ありますが、これまで特にトラブルも無く過ごせたのは幸運でした。経済的な問題もあり、もう今後海外で働く事は無いとは思いますが、良い経験ができたと思います。
こちらは最近やっと暖かくなり、日によっては初夏のような陽気になります。そうかと思えば今日は気温6℃。今年の冬は特に寒かったようで、正月には-40℃も体験しました。三年弱を過したこの大陸性気候とももうすぐお別れです。6月になったらモンゴル国内を少し旅行する予定です。なにしろ昨年9月にこちらに来てから、一度もウランバートルから外に出ていないので。日本国内では旅行が趣味なのですが、こちらでは公共交通機関が貧弱なので腰が重くなってしまうのですよね。
冬のモンゴル国立大学一号館とチョイバルサン像。ありがとう。さよなら。

…いや、まだあと一ヶ月あるんだけどさ。帰国は6月末です。
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